成長ホルモンの仕組みをわかりやすく解説

お子さんの「背を伸ばしたい」「よく寝てほしい」という気持ちやお悩みをお持ちの方は、成長ホルモンという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
でも、「どんな働きをしているのか?」「どうしたらしっかり出てくれるのか?」までは、意外と知られていないものです。
管理栄養士 柚希今回は、お子さんの成長をやさしく支えてくれる“成長ホルモンの仕組み”を、できるだけわかりやすくお話しします!
成長ホルモンとは?


成長ホルモンは、脳の「下垂体(かすいたい)」という場所から分泌されるホルモンです。
名前のとおり、子どもの身長を伸ばす大切な役割があり、骨や筋肉を育ててくれます。
ただ、それだけではありません。
- 疲れをとる
- 脂肪を燃やす
- 細胞の修復
など、健康全体を支えるメンテナンス係のような存在でもあります。
成長ホルモンはいつ出るの?


成長ホルモンは寝ている間に多く分泌されることがわかっています。
特に眠りはじめの「深い眠り(ノンレム睡眠)」で一気に分泌されるのが特徴です。
寝かしつけのあとに急に“元気スイッチ”が入る日、ありませんか?
深い眠りに入るまでの数十分は、どうしても眠りが浅い時間帯なので、そんな日があっても大丈夫ですよ。
身長が伸びる仕組み


成長ホルモンが作用すると、肝臓から IGF-1 という成長を促す物質が出ます。
このIGF-1が、骨の端にある「骨端線(こったんせん)」を刺激して骨を伸ばしてくれるため、身長が伸びていきます。
つまり、
成長ホルモンが出る
IGF-1が働く
骨端線が伸びる
→ 身長が伸びる!
という流れですね。
骨端線は成長期にしか開いていません。
思春期の終わりに閉じてしまうため、「身長が伸びるのは子どものうちだけ」と言われるのはこのためです。
成長ホルモンをしっかり出すために大切なこと
① 睡眠リズムを整える
成長ホルモンをしっかり出すには、まずは睡眠です。
- 毎日ほぼ同じ時間に寝る
- 寝る前のスマホ・テレビは控える
- 寝室を暗め・涼しめにして落ち着く環境を作る
深い眠りに入る準備がしっかり整うと、自然と成長ホルモンが出てくれます。
② タンパク質をしっかりとる


成長ホルモンは、体の材料であるタンパク質が不足すると働きにくくなります。
鶏肉・卵・魚・豆腐・納豆など、普段のごはんに少しずつ取り入れられると安心です。
タンパク質が不足すると、筋肉や骨の材料が足りず、せっかくの成長ホルモンも効果を発揮しにくくなります。
③ 適度な運動


ジャンプ・走る・全身を使う遊びは、骨に刺激が伝わりやすく、成長ホルモンの分泌も活発になります。
幼児なら公園遊び、小学生以上なら縄跳びやかけっこなどが自然でおすすめです。
④ ストレスをためない環境づくり
ストレスが大きいと、ホルモンのバランスは崩れやすくなります。
家で安心して過ごせること、親子でゆったり笑える時間が何より大切です。
成長ホルモンは“背を伸ばす”だけじゃない
成長ホルモンは背を伸ばすだけでなく、
- けがの回復
- 疲労の回復
- 免疫のサポート
など、体を総合的に元気にしてくれる働きがあります。



実は大人にも成長ホルモンは分泌されています!
美容や代謝アップにも関わっているんですよ。
「早寝・よく食べる・よく遊ぶ」という昔ながらの生活リズムが、実は医学的にも理にかなっているんですね。

